「Claude Codeに『秘書を作ってくれ』と頼んだら、CTO業務が一変した」
この投稿が今、テック業界で大きな話題になっている。投稿したのはObie Fernandez氏。Ruby on Railsのバイブル「The Rails Way」の著者であり、a16z cryptoなどから出資を受けるフィンテック企業ZARのCTOだ。
この投稿は19.3万回以上閲覧され、4,126件のブックマークを獲得した。単なる「生産性が上がりました」という話ではない。AIが知識労働者の働き方を根底から覆すことを証明した実例だ。
Obie Fernandezとは何者か
まず、この投稿がなぜ信頼に値するのか、人物像を見てみよう。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 著書 | 「The Rails Way」「Patterns of Application Development Using AI」 |
| 経験 | ソフトウェア開発30年以上 |
| 現職 | ZAR CTO(新興市場向けフィンテック) |
| 出資元 | a16z crypto、Dragonfly、Solana創業者など |
30年以上この業界で戦ってきたベテランが「今が一番ワクワクしている」と言う。その理由を見ていこう。
システム構築:「フォルダ構造? 考えてない」
Obie氏がZARのCTOに就任したのは約3週間前。彼は新しいフォルダを開き、Claude Codeにこう伝えた。
Obie氏が打ち込んだプロンプト:
「マークダウンで動く仕組みを作ってくれ。定期的にClaude Codeを走らせて、世界最高のCTOになれるようなやつ。君を秘書兼CTOアドバイザーとして使いたい。フォルダ構成は好きに決めてくれ」
ここで重要なのは、Obie氏自身はフォルダ構成を一切設計していないという点だ。テンプレートも作っていない。「任せた」の一言で終わり。
Claude Codeが勝手に構造を組み立てた。そして驚くべきことに、Obie氏は今でもその中身をよく知らない。知る必要がないからだ。
1日の業務フロー:まるでJARVIS
Obie氏はこのシステムを「JARVISみたいなもの」と表現している(ただしターミナル画面限定だが)。
朝イチ:「おはよう」だけでOK
Obie氏が「おはよう」と打つと、Claude Codeが自動で動く。
- 今週のフォーカス項目を確認
- 未処理のタスクをチェック
- 今日の予定をカレンダーから取得(Rube/MCP連携)
- 注意すべき点を報告
所要時間は30秒。これだけで1日の全体像が掴める。
会議後:議事録を貼り付けるだけ
会議が終わったら、Geminiで文字起こしした内容をClaude Codeに貼り付ける。それだけ。あとはClaude Codeが勝手にやってくれる。
- 会議メモを作成
- 誰が何をやるか、タスクを抽出
- 参加者の情報をチーム名簿に追記
- 関連ファイルを更新
「何をしろとも言ってない。どこに保存しろとも言ってない。ただ、やってくれる」
– Obie Fernandez
1on1の前:「準備して」の一言
1on1の前に「田中さんとの1on1を準備して」と打つだけで、Claude Codeが動き出す。
- その人物のこれまでの記録を読み込む
- 最近のメモを確認
- 未処理のタスクをチェック
- 話すべきトピックを提案
すべての1on1に、完璧な準備をした状態で臨める。「チームは絶対気づいてるはず」とObie氏は言う。
Slack投稿:「これ投げといて」
重要なPRやデプロイの報告をしたいとき、「これ#engineeringに投稿して」と伝えてメッセージを渡す。Claude CodeがそのままSlackに投稿する。終わり。
驚いたことに、Obie氏はAIを使って部下全員にSlackでメッセージを送った。定期1on1のセッティングを依頼する内容だ。誰もAIだと気づかなかった。
3週間で積み上げた数字
では、実際にどれだけの成果が出たのか。数字で見てみよう。
| 項目 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| 会議メモ | 82件 | すべて整理・保存済み |
| 1月の会議数 | 47件 | 1日平均2件以上 |
| 1on1記録 | 18件 | フォローアップ込み |
| タスク管理 | 35ファイル | 担当者・ステータス付き |
| チーム情報 | 23人分 | 経歴・強み・目標・会話履歴(264行) |
| 参照ドキュメント | 9件 | 戦略・設計・ツール・関係者 |
| 蓄積された知識量 | 11,579行 | 組織の「記憶」がここに |
これがたった3週間の成果だ。しかも、自分でコードも書き、CEOやCPOと経営レベルの仕事もこなしながら。
なぜこのシステムは上手くいくのか
1. 「仕組み」が見えない
Notionを使ったことがある人なら分かるだろう。「これはページ?データベース?」「どのワークスペースに置く?」「半年前に決めた分類、もう合わなくなった」——こういう悩みが絶えない。
このシステムでは、裏側の仕組みを意識する必要がまったくない。Claude Codeに話しかけるだけで、すべて処理される。
2. Rube/MCP連携が肝
Obie氏が「これだけは絶対に必要」と強調するのが、Rube/MCP連携だ。
- カレンダーに直接アクセス
- Slack、Twitter、Linearとつながる
- 「明日の予定は?」「これSlackに投げて」が一発で動く
3. 会話の履歴がずっと残る
すべてがマークダウンファイルとしてGit管理されている。Claude Codeは数週間前の決定を参照できるし、複数の1on1の内容を横断的に比較して、自分では気づけなかったパターンを見つけ出すこともできる。
4. 使うほど賢くなる
会話するたびに情報が蓄積される。決定を下すたびに参照点が増える。チームの動きを記録するたびに、「誰が何を気にしているか」の解像度が上がっていく。
5. 並列作業も余裕
Claude Codeのセッションを複数開けば、3つの会議の準備を同時進行できる。それぞれのタブに完全な文脈が保持されている。
実際の使い方を見てみよう
採用活動
候補者のレジュメやLinkedInを貼り付けると、Claude Codeはこう動く。
- 採用パイプラインの情報を更新
- チームに足りないスキルを踏まえた質問を提案
- 最近の1on1内容から「今チームが本当に必要としている人材像」を割り出し、面談の準備をしてくれる
問題のあるメンバーへの対応
「佐藤さんとのこれまでのやり取りを見せて」と頼むと、Claude Codeは1on1の記録を引っ張り出し、問題のパターンを示し、期待値とのギャップに関する決定記録を参照する。
もし退職勧奨が必要になっても、「なんとなくダメだった」ではなく、繰り返されたパターンの記録がある。
ボトルネックの特定
「今、生産性を落としている要因トップ3は?」と聞くと、Claude Codeは最近の会議メモを読み、未処理タスクをチェックし、Linearのチケット状況を確認する。勘ではなく、データに基づいた答えが返ってくる。
「今まで雇った秘書より優秀」
Obie氏は過去に優秀な秘書を雇ったことがある。年収1,000万円クラスの人材だ。
「Claudeのほうが優秀だ。これまで雇った全員を足しても敵わない。悪いけど、事実だ」
– Obie Fernandez
このシステムが彼に超人的な能力を与えている。10人のエンジニアを束ね、自分でもコードを書き、経営幹部としての仕事もこなす。システムがすべてを追跡し、必要なときに必要な情報を出し、Slack投稿やカレンダー更新やタスク管理を、画面を切り替えることなく処理してくれる。
従来のツールと何が違うのか
| 観点 | 従来のナレッジ管理 | Claude Codeシステム |
|---|---|---|
| 維持の手間 | 「更新しなきゃ」が常に頭にある | 会話するだけで勝手に蓄積 |
| 整理 | 分類を自分で考える | AIが勝手に整理 |
| 情報の取り出し | 検索して探し回る | 必要なときに向こうから出てくる |
| ツール連携 | 画面を切り替えて操作 | 話しかけるだけで操作完了 |
| スケール | 情報が増えると破綻する | 「重くなってきたら対処して」で解決 |
ナレッジ管理ツールが失敗する最大の理由は、「管理すること」自体が仕事になってしまうからだ。更新を忘れないようにし、分類を考え、本来の仕事ではなくツールのことを考え続ける羽目になる。
このシステムが機能するのは、システムのことを一切考えなくていいから。仕事に集中していれば、会話の副産物として勝手に記録されていく。
あなたも今日から始められる
CTOやテックリード、あるいは複数の仕事を同時に回しながらチームも見なければいけない立場なら、もはやこれは必須ツールだ。
いや、知識労働者であれば誰でも、これは必須ツールだ。
Obie氏とまったく同じシステムを作る必要はない。Claude Codeは彼の役割と思考回路に合わせて設計された。あなたには、あなた用のシステムが生まれる。
始め方のヒント
- まず始める:新しいフォルダでClaude Codeを開き、「何が欲しいか」を伝える。構造は任せる。1週間使ってみる
- ツールをつなぐ:Rube/MCP連携は必須。カレンダーだけでも繋げば、それだけで世界が変わる
- 複数セッションを試す:1セッションでも十分使える。でも3つ同時に開いて並列作業すると、本当に「超能力」を手に入れた感覚になる
未来はもう来ている
「未来はもう来ている。ただ、まだ一部の人にしか届いていないだけだ」
– Obie Fernandez
これはまだバージョン1だ。今はターミナル画面だけの世界だが、Wispr Flowで音声入力を使えば、すでにJARVISと会話している感覚になるという。この先に待っているのは、1日中ずっと会話し続けられるアシスタントだ。「ツールを使う」のではなく、組織のすべてを把握し、代わりに動いてくれる存在。
モデルはどんどん賢くなる。Opus 5や6が出たらどうなるか。もっと良いツール連携が実現したら。ウェアラブルデバイスで動くようになったら。想像するだけでワクワクする。
そしてそれは、多くの人が思っているより早く実現する。まだ「AIって本当に役に立つの?」と議論している人がいるが、流れに乗らなければ置いていかれる。
まとめ:「組織の記憶」を自動で作る時代
Obie Fernandez氏のシステムが示しているのは、AIアシスタントの本当の価値だ。
| 原則 | 実践 |
|---|---|
| 意識せずに情報が蓄積される | 会話するだけで自動的に記録・整理 |
| 時間とともに価値が増す | 3週間で11,579行の組織知識 |
| 業務ツールと直結 | カレンダー、Slack、Linearを自然言語で操作 |
| フォーム入力は不要 | 「おはよう」「準備して」で完了 |
| 並列作業もOK | 複数タブで同時に別の仕事 |
ZARでは、全社員にこのようなシステムの導入を推奨している。学習コストを下げるためにコンサルタントへの投資も行っている。Obie氏の直属の部下は、全員が導入を義務付けられている。
今すぐ新しいフォルダでClaude Codeを開いて、こう打ち込んでみてほしい。「世界最高の______として機能するマークダウンベースのシステムを作ってくれ」。空欄にあなたの役職を入れて、何が生まれるか試してみよう。
未来はもう来ている。ただ、まだ一部の人にしか届いていないだけだ。


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