xAIの創業チームが半壊─24時間で2人の共同創業者が辞任
2026年2月10日〜11日の24時間で、Elon MuskのAI企業xAIから2人の共同創業者が相次いで辞任した。これにより、2023年の創業時に集結した12人の共同創業者のうち、半数の6人が既に去ったことになる。
2月10日にYuhuai(Tony)Wu氏が「xAIを今日辞任した。この会社は、そして私たちが家族になった絆は、永遠に私の中に残る」と投稿。その数時間後、Jimmy Ba氏が「xAIでの最後の日」と宣言した。
しかし、Ba氏の退職宣言は単なる感謝の言葉では終わらなかった。AI業界全体を揺るがす予言を伴っていた。
Jimmy Ba氏の衝撃宣言:「再帰的自己改善が12ヶ月以内に稼働」
Jimmy Ba氏は、深層学習の世界で極めて影響力のある研究者だ。Adam optimizer(現在のほぼすべてのAIモデルの学習に使用される最適化手法)の共著者であり、Layer Normalizationの共同発明者でもある。
Jimmy Ba氏の退職宣言(2026年2月11日):
「xAIでの最後の日。xAIの使命は、人類をカルダシェフ・スケールの技術ツリーで押し上げることだ。」
「適切なツールがあれば、我々は生産性が100倍になる時代へ向かっている。再帰的自己改善ループはおそらく今後12ヶ月以内に稼働するだろう。」
「2026年は人類の未来にとって最も重要な年になるだろう。」
「再帰的自己改善ループ」とは、AIが自分自身を改良し、改良された自分がさらに自分を改良するというサイクルのことだ。これが実現すると、AIの能力向上は人間の介入なしに加速的に進む。Ba氏はこれが「12ヶ月以内」に起きると断言している。
Adam optimizerの共著者がこう言うのだ。これは妄想ではなく、AI開発の最前線にいた人物の内部情報に基づく予測だ。
離脱した6人の共同創業者─それぞれの行方
xAIの創業チーム12人のうち、以下の6人が既に離脱している。
| 名前 | 離脱時期 | その後 |
|---|---|---|
| Kyle Kosic | 2024年 | OpenAIに入社(インフラ責任者) |
| Christian Szegedy | 2024年 | Morph Labsに参加(Google出身) |
| Igor Babuschkin | 2025年8月 | ベンチャーキャピタルを設立 |
| Greg Yang | 2026年1月 | ループス(健康上の理由) |
| Tony Wu | 2026年2月10日 | 「次の章」へ |
| Jimmy Ba | 2026年2月11日 | 新プロジェクトを示唆 |
特に注目すべきは、Kyle Kosic氏がライバルのOpenAIに移籍している点だ。xAIのインフラ責任者が最大の競合他社に移るという事実は、内部で何か深刻な問題が発生していることを示唆する。
離脱の背景:SpaceX合併と過酷な労働環境
大量離脱の背景には、複数の要因が絡み合っている。
1. SpaceXとの合併(2500億ドル評価)
xAIはSpaceXに吸収合併され、合計2500億ドル(約37兆円)の評価額となった。この合併により、創業者たちは相当な株式報酬を受け取ったとみられ、経済的な「ゴールデンパラシュート」が離脱を容易にした可能性がある。
2. Elon Muskの過酷な経営スタイル
MuskはxAIでも極めて要求の高い労働環境を維持していたとされる。Twitter/X買収後と同様の「ハードコア」な文化が、一部のエンジニアには合わなかったようだ。
3. Grokの品質問題
xAIのチャットボット「Grok」は、一貫性のないパフォーマンスや内部的な改ざん問題で批判を受けた。また、画像生成ツールがディープフェイク作成に使用され、法的な精査を受ける事態にもなった。
4. 競合との差の拡大
OpenAI(GPT-5.3 Codex)とAnthropic(Opus 4.6)が急速に進化する中、xAIのGrokは技術的に追いつけていないとの指摘がある。
Muskの反応:「プッシュであってプルではない」
この大量離脱について、Elon Muskは「プル(引き抜き)ではなくプッシュ(押し出し)だった」と示唆している。つまり、「彼らは引き抜かれたのではなく、会社側が人員整理を進めた結果だ」という主張だ。
しかし、この説明には疑問も残る。もし会社主導の人員整理であれば、なぜ共同創業者が感謝の言葉やビジョンの宣言を伴って退職するのか。Ba氏の「100倍の生産性」「再帰的自己改善ループ」といった壮大な退職宣言は、解雇されたというよりも、新たな機会に向けて自発的に動いているように見える。
離脱者たちの次の動き─「自己改善AI」の開発へ
Inc.の報道によれば、xAIを離脱した人材の一部は「自己改善できるAI」の開発に取り組み始めている。
Jimmy Ba氏の「再帰的自己改善ループが12ヶ月以内に稼働する」という発言と合わせて考えると、xAIの内部で見た技術的可能性を、自分たちの手で実現しようとしている可能性がある。
つまり、これは単なる「人材流出」ではない。AI開発の最前線にいた人々が、次の時代を自分たちで作ろうとしているということだ。
「再帰的自己改善」はなぜ重要か
Ba氏の発言で最も注目すべきキーワードは「再帰的自己改善ループ」だ。
| 段階 | 説明 |
|---|---|
| 現在 | 人間がAIを設計・訓練。AIは指示に従ってタスクを実行 |
| 自己改善の初期段階 | AIが自身のコードの一部を改善。OpenAI GPT-5.3 Codexが既にこの段階 |
| 再帰的自己改善 | AIが完全に自分自身を改良→改良された自分がさらに改良→加速的に知能向上 |
| 知能爆発 | 人間の介入なしにAIの能力が指数関数的に向上する段階 |
OpenAIも「GPT-5.3 Codexは自身の作成に貢献した初のモデル」と公式に発表しており、Anthropic CEOのDario Amodei氏も「現世代のAIが自律的に次世代を構築するまでわずか1〜2年」と予測している。xAIの内部者であるBa氏の「12ヶ月以内」という発言は、これらの予測と一致する。
まとめ:xAI崩壊が示すAI業界の地殻変動
xAIの共同創業者大量離脱は、単なる一企業の人事問題ではない。
3つの重要なシグナル
- AI人材の流動性:最高レベルの研究者は特定の企業に留まらず、最も影響力を発揮できる場所を求めて移動する
- 再帰的自己改善の接近:Adam optimizer共著者が「12ヶ月以内」と断言したことの重み。内部情報に基づく予測である可能性が高い
- 100倍の生産性革命:これはMatt Shumer氏の「Something Big Is Happening」とも呼応する。AI業界の最前線にいる人々が、同じ結論に達している
Ba氏の言葉を借りれば、「2026年は人類の未来にとって最も重要な年になる」。その予言の真偽は、これからの12ヶ月で明らかになるだろう。


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